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職親プロジェクト

『職親プロジェクト』をご存知だろうか?

正式には『日本財団職親プロジェクト』といい、2013年2月28日に発足した、日本財団のプロジェクトの一つらしい。

なぜ私がこの話をしているのかというと、昨日、弟と電話で話をしていたら、どうやら職親プロジェクトのメンバーになることが決まった、というのだ。非常にやる気に満ち溢れた声だった。

昨年から弟が、興奮気味に『職親プロジェクトが〜』と話すので、気分もすぐれず、何のことか分からない私は、ただふんふんと聞いているだけだった。

私は、この『職親プロジェクト』というものを知らなかったので、弟と話しながら、ネットで職親プロジェクト』のサイトを覗いてみた。

『過去は変えられないが、未来は変えられる。日本財団職親プロジェクトは、再び罪を犯すことを防ぐため、また犯罪で悲しむ方を増やさないため、「就労」、「教育」、「住居」、「仲間づくり」の視点で刑務所出所者、少年院出院者の社会復帰を応援していきます。』

サイトによると、すでに日本全国の130社がメンバーとなり、参加している。刑務所出所社や少年院出院者が、出所前に職業訓練を受け、対象となる会社の代表と面接をし、内定を与えられる。出所後は、受け入れる側が親代わりとなり、職を与え、社会復帰をサポートしていく、という流れになっているようだ。これだけの企業がこのプロジェクトに携わっている、というだけで驚きだが、よく見ていくと、安倍昭恵さんも名を連ねていた。弟によると、ハイヒール・モモコさんもメンバーの一人だという。このプロジェクトの必要性と重要性が広く認知されている、ということなのだろう。

弟が、草刈健太郎さんという方のドキュメンタリーがYoutubeに上がっているから、是非観てみるように言うので、昨日早速観てみた。

草刈健太郎さん(写真はTEDxHimiから転写)

草刈さんは、過去に妹さんを亡くされている。妹さんがアメリカ留学中に、交際相手に殺害されたのだそうだ。そして、彼とご家族は、彼女の死を乗り越えるために、大変ご苦労され、悲しむ人をこれ以上増やしたくない、犯罪者に犯罪を繰り返させてはいけない、という強い思いに突き動かされ、ご自身の会社で、少年院出院者を積極的に受け入れ、彼らの親代わりとなって、社会復帰をサポートされているという。ご家族も会社の従業員の方たちも積極的にサポートをしている姿が印象的だった。

ドキュメンタリーは、少年院から出てきた、ある若い男性Aと、彼を保護する草刈さんを追っている。AにはAの苦しみがあり、自分がコントロールできず、失敗を繰り返す。仕事も続かない。草刈さんはことごとく裏切られるが、それでも諦めずにAが社会の一員として自立できるよう、四方八方手を尽くす。そして、結末は・・という内容であった。

感想として、まず、草刈さんの情熱に圧倒される。そして、彼の行動力に頭が下がる。刑務所や少年院から出てきた人だ、過去に犯罪を犯した人だ、と言われれば、敬遠したくなるのが本音だろう。なのに、亡き妹さんへの想いを胸に、あえて難局へ立ち向かっていく。草刈さんのような方々の活動によって、社会復帰を果たすことができた人が、実際にいるわけだ。そして、再び犯罪を犯さないお陰で、被害者が減っている。その被害者は、私であったかもしれないし、私の家族や友人であったかもしれない。そう考えると、草刈さんの活動は間違いなく、多くの人を救っている。感謝しかない。

そんなドキュメンタリーだったのだが、我が弟は昨年、このドキュメンタリーを観て、この活動に興味を持ち、関連するビデオも観ていったそうだ。そして、居ても立ってもいられずに、資料を請求し、『職親プロジェクト』のメンバーになるべく、申し込んだという。弟の行動力もアッパレだ。自分を突き動かすものを見つけ、そこに進んで行ったことに、姉としてとても誇らしく思う。

弟は日本で会社を営んでいるのだが、寮も完備しているので、社会復帰を目指す方々に職と住居を与えることができるだろう。それに、情熱がある。以前から、社会貢献をしたいと、養護施設を出た子どもたちに職を提供しようと動いていたので、この『職親プロジェクト』の内容に強く惹かれるものがあったのだと思う。適材適所。これも神の采配なのだろう。ピッタリのご縁だと思う。(※養護施設では、施設を出る男子には働き口が結構あるのだが、女子にはそれがあまりないのだという。もし職業訓練ができる、またはきちんとした仕事を斡旋できる等、力になれそうな方がいらしたら、ぜひこのブログのコメント欄から連絡してきてほしい。)

ところで、職親という言葉を弟から聞いた時、響きも珍しいし、どういう意味が込められているのだろう、と思っていたけれど、なるほど、このドキュメンタリーを観て、理解できたような気がする。

良かったら、皆さんも観てみて下さい。(『おまえの親になったるで〜再犯を防げ!5年の軌跡〜草刈健太郎』

私も自分にピッタリの社会貢献の方法が見つけたいな。とにかく、行動あるのみ!!!

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