エステ 燃え尽き症候群・重度うつ病

決意

9月21日(木)、エステの学校を訪ねた。

この学校、実は、私がヒューストンの手術室で勤務していたときに通っていた学校。

手術室で勤務していた期間、平日週1でお休みだったので、その休日に学校に通っていたのだ。

エステの学校に通い始めたのは、コロナが流行り出し、世界中で多くの人がたくさん亡くなっていた頃。

コロナの患者さんをケアすることも避けられないし、一般の人より、感染のリスクが高いことを重々承知していた。

毎日更新される死者数に、私もいつ感染して死んでしまうか分からない。

だけれど、『死ぬ前に後悔だけはしたくない』という思いが、いつも以上に強くなっていた。

はじめてエステの学校に行ってみたいと思ったのは、10年ほど前。

その頃、私はPICU(小児集中治療室)で勤務をしていて、こちらも激務で、お金はあれど、時間がなく、学校へ通うことが叶わなかった。

でも、手術室では週に1度お休みがある。

『このチャンスを逃したくない。』

そう思った私は、ヒューストンにあるエステの学校をリサーチし始めた。

そして、たった1校だけ、ピンときたのだ。

早速予約をとり、面接を受けた。

その学校のプログラムは、6ヶ月で終了するのだけれど、月曜から金曜、フルタイムで授業がみっちり行われる。

しかし、私は週に1度しか学校に通うことができない。

私は面接してくれた事務の女性に、『その状況では入学は無理だ』と言われてしまった。

だけど、そんな覚悟で面接に来たのではない。

その女性に学校のトップに会わせてくれるようにお願いした。

直談判だ。

しばらくすると、ちょうど授業を終えた学校のトップが通りかかって、彼女とお話しすることができた。

運が良かった。

勤務の都合上、週に1度しか通えないことを説明した上で、どうしても後悔したくない気持ち、エステのお勉強をしたいという希望を素直に伝えた。

その結果、特別に入学が認められた、というわけだ。

入学以降、はじめの3週間は有給を取って毎日通い、手技の基礎をおさえ、その後は、週に1度、しっかりと通った。

セオリーの授業では、週に1度試験があるのだけれど、授業には出られないので、自分で勉強をして、試験を受けた。

クラスメイトには、『週に1度しか通えないのに、授業料を他の人と同じだけ払うのは馬鹿げている』なんて言われたけれど、そんなのどうでもいいのだ。

私はチャンスをお金で買ったのだ。

入学前から、自分で計算をして、週1ペースで通学すると、6ヶ月で終了するはずのそのプログラムを私が終了するには、ものすごく頑張って、7−8年かかることを知っていた。

おそらく、学校側はそんな計算をしていなかったと思う。

でも、早く終わらせるチャンスはいつか来るかもしれないから、とにかくエステの学校に足を踏み入れたかったのだ。

週に1度学校に行き、週末の特別授業があるときは、できる限り受講して、時間を稼いだ。

その結果、課せられた750時間うち、約500時間終了していた。

勉強は、毎朝4時に起きて、勤務前に15分〜30分、加えて、通勤時や帰宅後も勉強した。

2冊の分厚い教科書は、チャプターごとに切り分けて、持ち歩き、時間があればとにかく読み、読了した。

その結果、学校で受けたテストもすべてパスした。

でも、実技は思うようにいかなかった。

授業を受けていないのだから、思うようにいかないのは当たり前だ。

クラスメイトにビデオを撮ってもらって、どうにか自分で練習したけれど、上手にできなかった。

そのうち、コロナの影響で人員整理が進み、同僚が1人亡くなってしまったことで、仕事量が一気に増え、休学せざる終えなくなった。

それ以来、仕事に専念し、そのうち体調を崩し、うつ病に苦しみ、正式に長期休学となった。

で、療養中、今後どうしたいか考えたときに、『エステのお勉強を真剣にしたい』と思ったわけだ。

そんなわけで、9月の上旬に学校にコンタクトをとり、今回学校を訪ね、今後どうするのかを話し合うことになったという運びだ。

残念なことに、その数日前から少し咳が出ていた。

それがのちに気管支炎になってひどく体調を崩すことになるのだけれど・・。


予約の時間に学校へ行ってみると、アカデミックアドバイザーに出迎えられた。

学校のトップも、オンラインで参加してくれた。

あらかじめ、私の意向や、質問したいことをメールで伝えていたので、しっかりとした情報が得られた。

私がしたいことは、エステとリンパマッサージだ。

私は、それをしていくための道筋を知りたかった。

どんな資格が必要なのか?どれくらいの期間がかかるのか?費用はいくらあれば良いのか?CIDESCO(世界で公認されたエステの資格)はとった方が良いのか?

有耶無耶な問題をはっきりさせたい。

そんな思いで質問をぶつけてみると、多くの情報が得られた。

私は、リンパマッサージをするのに、マッサージセラピストの資格が必要だと思っていたのだけれど、まず、それが違っていたことに驚いた。

学校のトップ曰く、『リンパマッサージというけれども、これはマッサージではない』ということだった。

したがって、マッサージセラピストの資格はいらないという。

私の保持している、アメリカの正看護師の資格で、リンパマッサージはできるはずだ、ということだった。

それから、リンパマッサージを本格的に学びたいのなら、『Vodder School』という学校が良いということを教えてくれた。

そして、ただアメリカでエステの仕事がしたいだけなら、CIDESCOの資格は必要ない、ということだった。

けれど、CIDESCOの資格を持つことで、発言に信用度が上がったり、拍がつくことは間違いない、とのアドバイスを受けた。

さらに、私が学校に戻りたいとしたら、2つの選択肢を与えられた。

一つは、残りの250時間を消化すること。その場合、以前に全額支払ったので、授業料はいらない。その代わり、今まで教わったはずであろうことを、自力で復習して卒業すること。

もう一つは、プログラムをはじめからやり直すこと。その場合は、今まで終了した約500時間分の授業料を支払うこと。

以上が面接で得た情報だ。

私は、自分の得た知識と技術に自信を持って卒業したいので、学校に戻るとしたら、はじめからプログラムをやり直す方を選びたい旨を伝え、具体的な授業料を提示してくれるよう頼んで、その日の面接を終えた。

翌朝学校のトップからメールが来て、授業料が伝えられた。

その金額、計$11,000。日本円で約165万円也。

『痛い。痛すぎる・・。』

翌週までに結論を出して、報告する旨を伝えた。

しかし、小1時間ほど悩んだ結果、結論を出し、結局、メールをもらったその日のうちに返信をした。

『CIDESCOのスキンスペシャリストのコースで、はじめからやり直します。』

ということで、1月から学校に戻ることになった。

入学手続きは11月に始める、とのことだった。

『私の波のある体調は1月までに良くなるのか』『集中もできない状態で、本当に卒業できるのか』『資金はどこから捻出しよう』

不安なことが次から次に湧いてくる。

でも、行動しなくては。

きっと、行動していけば、道は開けるはず。

不安に囚われて、行動しないことこそ愚かなことはない。

とにかくやってみよう。

そんな祈るような気持ちで、来年から学校に戻ることを決意した日だった。

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