アメリカ日常生活

モエ子、初Endodontist 送りになる🦷

10月3日、サフィーが私のリテイナーを破壊したため、再度それを作りに歯医者に行った。

リテイナーとは、歯列矯正をした後、その形をキープするために歯に装着するもの。

矯正をしたといっても、歯は元の位置に戻ろうとするので、何もしなければちょっとずつずれていくのだ。

それを防ぐために、私は2日に1回、夜間にリテイナーを装着して眠るよう、担当歯科医から指示を受けた。

リテイナーを作り直すには、歯医者でもう一度型を取ってもらい、その型が業者さんに送られ、だいたい2週間以内に手元に届くようになっている。

しかし今回は、せっかくだから、リテイナーの型を作る前に、治療すべきところがあれば治療しちゃいましょう、ということになった。

グッドな提案だ。

なぜなら、リテイナーが完成した後で治療すべきところが見つかったら、治療をした後、もう一度リテイナーを作り直さなくてはならなくなるからね。

レントゲンを撮った結果、もう10年以上昔に治療して被せ物をしたところを今のうちにやり直してしまおう、ということになった。

信頼している歯医者さんがやったほうが良いと言うのなら、やってもらうに越したことはない。

治療をすることに同意した。

ドクターが麻酔の注射を打っていく。そして、被せ物を外し、中を削る。

新しい被せ物を作るために、型をとり、治療した歯には仮の被せ物がつけられた。

そして、2週間後の予約を取って、帰宅した。

まだ麻酔が効いていて、顎の左半分の感覚がおかしい。

しばらくすると、麻酔もだんだん切れてきた。

型だけ取って、すぐに帰れるものだと思い、朝食を摂らないまま歯医者に行ったので、お腹が空いてきた。

ごはんを用意して食べ始めると・・

『ううっ!』

食べ物が当たるだけで、治療した歯から、キーーーンと響くような鋭い痛みが全身に広がる。

『痛っ!でも、治療したばかりだからかもしれない。ちょっと様子を見よう。』

そんな感じで様子を見ていたのだけれど、何日経っても変化がなかった。

『2週間後に予約が入っているから、それまで左側で噛まないようにしながら、我慢しよう・・。』


2週間後、ようやく予約の日が来た。

「治療したところが、食べ物が少し当たるだけでものすごく痛みます。」

そうドクターに伝えた。

ドクターが治療を始めると、器具がほんのちょっとその歯に触れただけで、全身が飛び上がるほど痛かった。

また麻酔のお注射をバンバン歯茎に打たれ、仮の被せ物を外し、歯の中を観察し始めた・・が、麻酔の効果を上回る激痛で、涙がちょちょぎれる。

「あまりにも痛みが強いから、すぐにEndodontistに診てもらった方がいいな。」

ドクターにそう言われて、治療が中断し、2件のEndodontistの紹介状を渡されて帰宅することになった。

Endodontistというのは、日本語では『歯内療法専門医』と訳されるらしい。

簡単に言えば、主に歯の神経を専門に治療してくれる医者だ。

日本では歯の大抵のことは、歯医者さんでやってもらえるけれど、アメリカでは歯の外側の治療と歯の内側(主に神経)の治療とがハッキリ分かれているのだ。

私はEndodontistにかかった経験はないけれど、想像も出来ないくらい高額な治療代を請求される、という噂だけは、昔々に聞いたことがある。

『うわぁ〜、どれくらい金額がかかるのだろう??でも、治さないことには仕方ないし、やるならすぐに治してほしい!こんな痛みを抱えたまま生活するなんて、嫌だ!』

歯の痛みを感じるなんて、アメリカに来て初めてのことだ。

こんな痛みを感じたことは、小学生の頃以来だろう。。

歯医者が大好きで、大人になってからはかなりこまめに歯医者に通っていたし、アメリカに来てからも、必ず半年に1回の検診とクリーニングを欠かしたことはなかった。

だのに、こんなことになるなんて・・。

『2週間前に削ったときに、ドクターが削りすぎたのだろうな・・😢

そんなことを考えながら、運転していた。

帰宅後、すぐにEndodontistのオフィスに電話をかけた。

「できれば、今日お願いします!」

その日の午後、予約が取れた。


オフィスに入ると、ふかふかのソファーとピカピカの小さなテーブルが置いてある、とても綺麗な待合室があった。

受付の男性に名前と予約の時間を告げる。

すると、いきなり料金表を見せられた。

『おおおっ・・。やっぱり噂は本物だったのか・・。払えるのだろうか・・。。でも、払えるのか気にしたって、治療しないことには仕方ないし・・。。』

恐る恐る、その料金表に目をやる。。

治療の料金だけでなく、麻酔の料金、そして鎮静薬の料金まで、金額がずらりと並ぶ。。

『ヒェ〜!!!!!!』

モエ子「あの〜。治療の基本料金と麻酔は絶対に必要だと分かるのですけど、この$300の鎮静薬というのは必要なものですか?ちょっとEndodontistにかかるのが初めてなので、よく分からなくて・・。」

受付の男性「う〜ん。ほとんどの人が使っているけれど、たまに使わない人もいるし、本当に人によってそれぞれだよ。モエ子さんは、痛みに敏感??」

モエ子「そうですねぇ、普段は痛みにはある程度耐えられる方だと思うのですけど、今は物がちょっと触れるだけで激痛が走るので、この状態だと敏感ということになるのかなぁ??」

受付の男性「あぁ、そうかぁ。。Endodontistでの処置が初めてなら鎮静薬は選んだほうがいいと思うよ。緊張する人が多いからね。」

その言葉を聞いて、鎮静薬$300を取るか、痛みフリーの状態で安らかに治療を受けるかの2択で、モエ子は格闘した。

その結果・・

モエ子 「治療の直前にどうするかを決めてもいいですか?」

受付の男性「もちろん、いいよ!」

『ふぅ〜。良かったぁ。。』

するとすぐに「モエ子さ〜ん、中に入って〜」と声がかかった。

恰幅のいいベテラン風のおばちゃんが私の担当だ。

モエ子「お化け屋敷に入るくらい怖いのじゃないかって、ドキドキしてます〜。あははは!」

ハロウィン間近だったこともあり、そんなジョークを飛ばしながら、ドキドキを紛らわした。

『あああ・・どれだけ痛いんだろうなぁ。。多くの人が鎮静薬を使わなければならないなら、やっぱりそうとう痛いってことだよねぇ😭

部屋に通され、椅子に座る。

担当のおばちゃんから、鎮静薬を使うかどうか聞かれたが、直前に決めるという選択権を得て、またもや返事を先延ばしにした。

ドクターが入ってきた。女医さんだ。

マスクをし、手術着を着ている。

目のメイクがバッチリ施されていて、美しい。。

話を聞いていると、『治療』ではなく、『手術』という言葉を使うことに、ギョッとした。

鎮静薬のことを再度、問われた。

ドクター「手術中、少しでも動いたら本当に危険よ。」

そこにおばちゃんも加わる。

おばちゃん「あなた普段冷静な方?今、落ち着いてる?たくさんの人が手術が怖くなって、結局鎮静薬を使うのよね。」

『そうなのかぁ。手術っていうくらい、本格的なことなんだぁ。。でも、日本だと、この程度のことは歯医者さんで済ませるよねぇ。。本当にそんなに仰々しいものなのかね??』

モエ子の心は決まった。

モエ子「冷静な方だと思います。今も落ち着いてますし、鎮静薬なしでやってみます。」

いよいよ治療が始まった。

ドクターが仮の被せ物を外そうとし、器具が患部に触れた。

「あああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」

あまりに痛くて、声をあげ、より一層全身に力が入る。

胸のところで合わせていた両手をこれ以上ないほど、ぎゅーーーっと握りしめた。

痛みを確認したドクターは、被せ物を取る前に麻酔薬を打つことにしたらしい。

左下奥の歯茎に注射針がブスブス刺され、薬が入っていく。

次第に感覚が薄くなっていった。

ドクター「これ、歯にあてるから、感覚があるかどうか教えてね。」

スプレーで冷やした物体を歯にあてる。

モエ子「痛いっ!!!!!!!」

ドクターはさらに注射針を歯茎に打ち込んだ。

しっかり薬が効いたことを確認して、『手術』が開始された。

ドクターとおばちゃんが私の上で、世間話をしている。

近所の評判のお店の話や、次のバケーションでどこに行くかなど、こういう話を患者の目の前ですることも、日本じゃあまり見られない光景じゃない??

『おやや。。何にも感じない。。大丈夫かも。。』

痛みを感じることなく手術が進み、体の力を少しずつ抜いてみる。

『おお、まだ平気そう。。』

ついに、全身の力を抜いて、手術を受けることができた。

ゆ〜っくり目を閉じて、心地よい気分を味わっているうちに、その手術は終わってしまった。

目を開けるとその女医さんは消えていて、ドクターに直接質問をする機会はなかった。

おばちゃん「終わったよ〜。もう帰ってもいいわよ。」

モエ子「あの〜、手術の説明をしてもらえませんか?どんな手術をしたのかとか、何が原因だったのか、とか。」

おばちゃん「ああ、そうね。」

そう言って、レントゲンを指差して説明してくれた。本来なら、こういう説明は、ドクターがするべきじゃない??と思ったけれど、それは胸の中に閉まっておく。

おばちゃん「ほら、表面から神経までの距離がものすごく近いでしょう?だから、ものを噛んだときに神経に触れて、痛みが生じたのよ。」

モエ子「もしかして、歯医者さんが私の歯を治療するときに削りすぎちゃったってことですか?」

歯医者さんを責める意図はまったくもってないけれど、やっぱり自分の歯だもの。ここまでの手術をしたことだし、自分を納得させるためにも、原因はしっかりさせておきたかった。

おばちゃん「そんなことはないわよ。」

『そりゃそうだとしても、そう答えるよね。同業者だもの。でも、きっと削りすぎちゃったのだろうなぁ。。きっと必要な処置でそうなったのだろう。。そういうことにしておこう。』

というところで、自分の気持ちに蹴りをつけた。

モエ子「あの〜、抜いた神経を見たいのですけど、見えてもらえませんか?」

おばちゃん「あらやだ。もう捨てちゃったわよ!ガハハハ!!!ちっちゃいヒョロっとしたものよ!」

モエ子「えっ?!そうですか。。ありがとうございました。」

『見たかったなぁ・・』という気持ちはあったけれど、歯の痛みから解放されて、大満足で部屋を出た。


さて、問題のお会計だ。。

ドキドキが止まらない。。

1枚の紙がペロリと目の前に出された。

$384.10。

モエ子「ええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!これだけですかぁ!!!!!!!!!!!!!!!!」

噂を信じていた私は、保険が効いても$1000は有に超えるだろうと覚悟していたので、この額が超お安く見えてしまい、感激してしまったのだ!

『良かった〜!!!!』

支払いを済ませ、無事、帰宅した。

翌週、歯医者へ戻り、新しい被せ物(クラウン)を乗っけてもらって、リテイナーの型をとった。

現在は、新しいリテイナーを手に入れ、痛みフリーの生活を送っている。

歯って本当に大事よね!⭐️


ちなみに・・なのだけれど、保険を使わなかった場合の、今回の私の手術の値段、気にならない?

そのお値段は、

なんと、なんと、$1,806.00也!!!!!!!!!

ヒェ〜!!!!!!!目玉が飛び出て、日本まで行っちゃうかと思ったよ!

COBRAの保険代、ものすごく高いけれど、良い保険のプランを継続して持っていて、本当に良かったよ。

アメリカの医療費は、恐ろしいね。

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