もし私が、もう一度うつ病治療を一からやり直すとしたらどうするか、私の家族や大切な友人たちに相談されたらどう答えるかということを、急性期と回復期に分けてまとめてみた。これらは完全に私の個人的意見なので、参考程度に読んでほしい。
【急性期では】
この順番に進んでいけると、超理想的と言えるのではないだろうか。
- 体の調子は崩れてきたけれど、まだエネルギーもある、人と話せる、という早い段階ならば、うつ病のセルフチェックを受けてみる。チェック項目に触れておくと、うつ病のサインを見逃しにくくなる。しばらく様子を見る。
- まだ体力のあるこのあたりから、うつ病に関する本を最低1冊読む。うつ病とは何か、またどのような経過をたどって回復していくのかを、大まかで良いので頭に入れておくと、その先の不安が軽減される。
- うつの症状と、体の不調がどんどん悪化し、2週間ちかく続くようならば、かかりつけ医に相談して、精神科医を紹介してもらう。もしくは、直接精神科の予約をとってしまう。
- 記録をつける。1日の身体の調子を100点満点方式で採点しながら、毎日点数をつけていくと、自分が見返した時に傾向がパッとわかるだけでなく、医師にも伝えやすくなる。
- 精神科医にかかる。この頃には、起き上がることも、話すこともつらいはずなので、つけていた記録を持参して医師に見せる。私は、絶対に伝えたい箇所や聞かれるであろう箇所にハイライトをし、記録を持参した。これはものすごく役にたった。
- もしうつ病(または、なんらかの精神疾患)だと診断されたならば、遺伝子テストが受けられるかどうかを確認し、予約をとる(診察当日に予約ができるなら完了させてしまう)。とにかく早い段階で、遺伝子テストを受ける。
- 職場に連絡。長期休暇の手続きや、特にShort-termやLong-term disabilityの手続きには時間がかかるので、すぐにプロセスを始めてしまう。治療で休養中は、収入がストップするだけでなく、お金が驚くほど出ていくので、できるだけ保障手当が早く入ってくるようにしておきたい。
- 投薬を始める。でも、遺伝子テストの結果が2週間以内に返ってくるので、医師と相談して、結果を待っても支障がないのなら無駄を減らすために、待つ。
- カウンセリングを始める。お金はかかるし、一見無駄に思えるのだけれど、自分のためだけでなく、アメリカでは保険の観点からも絶対に受けておくべき。
- 遺伝子テストの結果をみて、医師に薬を処方してもらう。抗うつ剤は効いてくるまで、2週間近くかかるが、必ず落ち着いてくるので、辛抱強く投薬を続ける。
- 重度のうつ病であれば、医師と相談しながら、そのほかの治療法(TMSやSpravatoなど)の情報をいただいておく。こうやって自分が持っている治療のオプションを頭の片隅に置いておけば、必要になった時に、有効な札を迅速に切っていける。
その他は、
- とにかく休む!←これが基本!
- 家族や身近な友人に助けを求める。
- ホットライン(クライシスライン)のナンバーを目につくところに貼っておく。いつパニック発作や自殺願望が出てくるか分からないので、すぐに回避できるようにしておく。
- 無意識下での、処方薬のオーバードース(過剰摂取)を防ぐために、薬は手の届くところには置かない。これも、命に関わること。
- 同僚からバンバン連絡がくると思うが、無理に返事をする必要はない。マネージャーやHRとの最低限のやりとりだけすればよい。自分の健康を最優先に!
- できるだけ現金を手元に残す工夫をする。
- 無理を押し付けてくる人とは、積極的に距離をとる。
【回復期では】
回復期になると、具合が悪い日もあるけれど、調子の良い日も出てきて、まるでジェットコースターのように、アップダウンが激しい日々を送ることになる。体力も少しずつ戻ってくる。
- 引き続き、無理をしすぎず、体を休める!
- 処方薬をしっかり飲み続ける。断薬厳禁!
- 睡眠、食事、運動の改善に力を入れてみる。
- 特に脳の働きを助けるサプリメントを積極的に摂る。
- 抜け毛対策も忘れずに。
- 外に出る時間をできるだけ持つ。はじめはとてもつらいので、ベッドから起き上がるだけでも良いし、それができてきたら、バルコニーに出て風にあたってみるだけでもいい。その次は、5分だけでよいから、外に出てみる・・と時間をかけてできることを伸ばしていけばいい。無理をする必要はない。
- とにかく栄養のあるものを食べる。薬の副作用もあって、意欲がない上に、食欲がなくなってしまう人が多い。特に一人暮らしの人は、食事の用意が非常に難しいが、お惣菜を買ってきたり、それも無理ならばデリバリーを頼むなりして、栄養があって食べられそうなものを家に置いておくといい。食材を置いておいても、腐らせてしまうことも多くなると思うが、罪悪感を感じなくていい。はじめは無理をせず、食べられる時に食べられるものを体に入れてあげよう。回復とともに、徐々に料理もできるようになっていくので、焦らない。
- 状態が良くなってくると、少しずつ意欲が戻ってくる。趣味ややってみたいことにいろいろと挑戦してみるといい。楽しくなかったり、続けられなくてもオッケー!
- 読書は効果あり。この際、孤独を積極的に楽しむのもいい。
- おそらく、仕事のことで深く悩むと思う。もしうつ病の原因が、仕事でのストレスが主だったとしたら、今の仕事が自分の人生にとって本当に価値のあるものなのか、健康を削ってまで続ける価値があるのかをゆっくり考えるといい。
- 無理に仕事に復帰しない。再発の可能性を上げるくらいなら、今しっかり治療に専念しよう。
- 少しずつ外出してみる。まずは店の前にいってみる、そして、混雑する時間を避けて、人混みにいってみる、というように徐々にハードルを上げていく。
- 友人と外出してみる。
- 体力がある時に、旅行に出てみるのもいい。帰宅後に体調が崩れることもあるので、帰宅後もゆっくり体を休める。
参考になったことはあっただろうか?私が経験した中で得た気づき。一つでもお役に立てていただけたら嬉しいな。また何か思いついたら、書き足していこうと思う。