燃え尽き症候群・重度うつ病

うつ病とお金

うつ病を患って、休職期間中の金銭管理は、多くの人が気になるところではないだろうか?

病人の懐事情をつまびらかにするのもどうかと思うが、この情報が必要な人もいると思うので、参考にしてもらいたい。

重度うつ病になると、働くことが困難になる。

実際、私も離職したし、他の多くの患者も然りである。

ただ、治療を続けていくには、多額のお金がかかるのも事実。

アメリカでは、良い保険に入っていなければ、望む治療は受けにくいのが現実である。

会社との雇用関係が切れてしまえば、会社を通して加入していた保険も切られ、新たに加入する保険は全額自己負担となる。

この、治療継続になくてはならない健康保険の負担は実に大きい。

ちなみに、よくオバマケア(正確には、Affordable Care Act)と聞くことがあると思うが、これによって、一応アメリカでも、誰でも保険に安く加入できる、ということになった。しかし、これもまた難しい。

2016年から、アメリカ政府が、Marketplace Insurance という組織を運営していて、個人やその家族、中小企業に属する人たちが、安く保険に加入できるようにしている。

私も今回、雇用先の保険が切れるにあたって、調べてみたのだけれど、結局は安いだけあって、制約も多く、ネットワーク内のドクターも限られている。その中にかかりつけ医が入っていなければ、今までの治療も継続できない。加えて、基本の医療費はカバーされるけれども、お薬代やTMSなどの高度な医療に保険が適用されず、全額負担となるので、結局は超高額と言われるCOBRA(後で説明する)と大差ないのでは??となってしまうのだ。

検討した結果、私は、COBRAを選択し、高額負担をして、安心を買うことにしたのだ。

COBRAというのは、アメリカの保険の制度で、離職した人がある一定の期間(私が知る限り、18ヶ月)、雇用期間時に使っていた保険のプランが継続できるよう保障してくれる。しかし、これが恐ろしく高額なのだ。

注意したいことは、離職後、決められた期間に申請すればCOBRAに入ることができ、望むときに契約を切ることができる。しかし、決められた期間後の加入は認められないので、COBRAに加入するチャンスを失ってしまう。

アメリカでうつ病の治療をするのに、一体どれくらいの金額がかかるのか、私の例を挙げてみる。

離職後、私はCOBRAを選択した。その自己負担額は、月$1,400。日本円にして、約195,000円。1ヶ月の居住費が賄えてしまう金額である。

治療費もほぼ毎日加算されていく。というのも、保険会社やLong Term Disabilityを継続する関係で、週3日のグループカウンセリングを受けるのだが、そのカウンセリングも、1回$125。日本円にして、17,000円越え。3回受ければ、$375。52,000円強が毎週飛んでいくのである。

ドクターに会えば、また加算。TMS治療を受けたら、更に加算。加算、加算、加算・・・。

この1年間、グループカウンセリングに参加して、たくさんの人を見てきたけれど、1度目の請求書が送られてくる頃になると、明らかに具合が悪い人も、無理をしてでも仕事に復帰していく人が多いのだ。それでは健康を取り戻せないが、職場に戻りたくなるのも無理はない。

生活を支えてくれるパートナーでもいればラッキーだが、私のようにシングルともなれば、話は別。

収入は無くなったのに、生活費、食費、光熱費、治療費、保険代、車の維持費・・を自分でどうにかしていかなくてはならない。

本当に腹を括らなければ、休職して治療の継続なんてやっていけないのだ。

で、私はどうしているかというと、Long Term Disabilityから、働いていたときの収入の50%が支給されているので、生活費をそれでなんとか賄っている。そして、とにかく現金を残すように心がけているのだ。

健康なときに、とにかく何かあったときに、できるだけ周りに迷惑をかけないようにしたい、と思って貯金していたものもあるけれど、できる限りそれを取り出さず、いざというときのために、現金を残すようにしている。

私がしている2つのことをあげる。No Judgement でお願いしたい。

1つ目は、0%APRのクレジットカードを利用していること。月々の支払いは、最低金額にし、使用額は、貯金の範囲内に収めている。カードは、うつ病になり、いよいよ働けなくなる、とわかった時点で申し込んだ。来年、0%のAPRの期限が切れるが、それまでに働けるようになっていれば、貯金から一括で支払う。しかし、もし一括で支払うことに不安のある状態であったら、多少の金額がかかってしまうが、他の0%APRのカードにトランスファーし、返済期限を延ばすことも考えている。とにかく、そのときに収入があるか、ないかで判断するだろう。

2つ目は、医療費は、ローン払いにできるものはしてしまうこと。薬やTMSなど、すぐに支払わなければならないものは支払うが、待てるものは待ってもらう。特に医療費は、利子がつくこともなく、クレジットスコアに響くこともないので、今無理して支払うものでもないと思っている。なので、月々$100ずつ払うことにしているのだ。収入が安定してきたら、支払額を増やしていけば良いが、不安定な今は無理をしてはいけない。お金がないことは、精神的にものすごいダメージを与えてしまうからね。

少し付け加えると、私は医療費をローンにしてしまうことを強くお勧めする。というのも、返済が難しいことを病院側も理解するので、医療費のディスカウントをしてもらえる場合があるのだ。例えば、カウンセリング代が1回$125と書いたが、なんと1回$40-80まで下がっている。

これが私がしている大きなことだけれど、他にもできることがあるようだ。

例えば、薬局選び。アメリカでは、処方箋の受け取り先を自分で選択できる。しかし、同じ薬でも、その受け取り先で、値段が大きく変わってくるのだ。細かい値段の違いは覚えていないけれど、Walmartの薬局が一番安く処方箋薬を購入できることは知っている。もっと切り詰めたい、という人は、Walmartの薬局に切り替えてしまおう。

それから、究極、保険も切れてしまったけれど、検査が必要なときは、無料、または低額で診察・検査をしてくれる病院が地域にあるので、そこを利用するといい。ただし、かなりの順番待ちを伴うそうなので、受けたい時に受けられるものではない。

グループカウンセリングに参加して、長いこと参加者を観察していると、『貧すれば鈍す』ということわざを実感することが多々ある。

お金がなくなるにつれ、参加者の心の安定は確実に削がれていく。

不安を口にする者、激しく怒りだす者、泣き出す者、離婚を切り出す者、逆に浪費してしまう者、さまざまだ。

それだけ、お金が精神的に与える影響は大きいと言えるだろう。

お金は、私たちの可能性を広げたり、生活を豊かにしてくれるものではあるけれど、同時に、私たちをどん底に落とすこともできる、魔法のようなものだ。人間が作り出した『もの』であるのに、不思議だよね。

お金によって、自分に良い魔法がかかるようにするためには、やはり余裕のあるときに準備をしておくことだ。

前にも書いたが、今の雇用先でLong Term Disability制度があるならば、健康だからと過信せず、迷わず加入しておくべき。いつ、何が起こるかわからない。

そして、貯金。いざというときのRainy Day Fundは作っておくべきだ。何か起こってからでは、遅いもの。そして、ギリギリの生活では、息苦しくなってしまうのも、また、現実なんだよね。

私も焦りがないわけではないけれど、腹を括っているせいもあるし、幸いなことに、今のところ、生活費だけは、Long Term Disabilityで賄えている。でも、回復しても、確実に借金は残る。一度に返すとなったら無理だけれど、一生で考えたら、払えないこともないのではないかな、と思うんだ。それよりも、今の時間を少しでも楽しみながら、健康を取り戻すことに専念することが、今の私にとって一番大切だと思っている。

-燃え尽き症候群・重度うつ病
-, , , ,